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OracleがBEAのBPM製品との統合計画を発表

米国Oracleは2008年7月1日にBEAのBPM製品とOracle Fusion Middlewareの統合計画をwebcastを通じて発表した。


On July 1stat Noon EDT/9:00 am PDT/5:00 pm in London, as part of the “Welcome BEA and Middleware Strategy Briefing” webcast, Charles Phillips and Thomas Kurian will explain how the addition of BEA products to Oracle Fusion Middleware will create a best-in-class combination.

BPMSウォッチャーであるブルース・シルバーが同日、BPMS WatchにOracle Unveils Plans for BEAのタイトルでその概要を報告しているので、これを参考に今後2社の製品がどのように変化するか私見を交えて紹介したい。

IDE

OracleとBEAのEclipse Add-in群はOracle Enterprise Eclipse Packに統合し、WebLogic Workbenchはこれに置き換えられる。OracleのJDeveloperはOracleの戦略的IDEとして存続するが、OracleBPMではあくまで選択肢のひとつになる。

Application Server

WebLogicがOracleの戦略的Application Serverになる。したがって、BPELプロセスのコンテナとして使用しているOC4J(Oracle Application Server Containers for J2EE)はBEA Application Serverに移植されることになるだろう。

SOA

AquaLogicのESBはOracleの切り札となり、SCAファブリック、BAMセンサー、ビジネスルールのようなOracle機能に強化されOracle SOA Suiteの一部に組み込まれる。Oracle BPEL Process Managerは戦略的プロセスオーケストレーションおよびヒューマンワークフローエンジンとして引き継がれる。

Oracle BPM Suiteの登場

既存のOracle BPA Suite(ARISのOEM製品)は、ハイエンドの戦略に関わるモデリングツールとしてに位置づけられる。一方、BEAのAquaLogic BPM(旧Fuego製品)はITの知識が少ない業務専門家でも実装可能な”アジャイルなBPM”として位置づけ、既存のビジネスプロセスモデリングやBPM設計環境を維持しつつ、ランタイムの実行エンジンはBPELとBPMNのいずれもが実行できる単一エンジンに移行する計画のようだ。この計画は、従来のアジャイルなBPMとは言い難い”BPA Suite + SOA Suite”の路線を軌道修正することになり、BPA Suiteはハイエンドプロセスのドキュメンテーションツールに追いやられる。

これらの方針により”Oracle BPM Suite”という名称の製品が登場することになる。製品構成は次の通り。

  • Oracle BPM StudioBPMNをサポートするAquaLogic BPMStudio+BPEL Designer)
  • Oracle BPEL Process Manager (ランタイム)
  • Oracle Business Rules
  • Oracle Activity Monitoring
  • 使用制限付きOracle WebCenter Suite (プロセスポータル用)

Oracle WebCenter(OWC) Suite

Oracle WebCenterは、Enterprise2.0市場に取り組むための戦略的なポータル/コラボレーション環境である。コラボレーションからコンテンツ管理に至る幅広いポイントプロダクトから構成され、エンタープライズレベルの利用を想定した統合スイートに体系化した。このOracle WebCenter Serviceは、既存のOWCとAquaLogicのコンポーネントをミックスしている。

  • Oracle WebCenter Framework
  • Oracle BPEL Worklist (ヒューマンワークフロー)
  • Oracle UCM Content Adapter (UCM: UniversalContent Management)
  • Oracle Portlet Bridge & JSR-168 Container
  • Oracle Composer (Thin Client Customization)
  • Others: Wikis, BLOGS, Tasks, Discussions, Polls, Serveys,…
  • Oracle
    Ensemble(旧BEAAquaLogic Ensemble:UIのマッシュアップ)
  • Oracle WebCenter Analytics (旧BEAAquaLogic Analytics:アクティビティやコンテンツの使用状況レポート)
  • Oracle WebCenter Adapter(外部のコンテンツDBとWebCenterを統合してコンテンツを共有)

所感:

これまでOracleは、BPELをサービスオーケストレーションエンジンとした”SOA Suite”しか持ち合わせず、人のワークフローを自動化するツールソリューションが不在であったことは否めない。BEAの買収の陰にはAquaLogic BPMのHuman-Centric BPM(人間中心のBPM)によるソリューションのテコ入れあったことは今回の計画に如実に表れている。今回の発表で
Oracle BPMSuiteは、ITの知識が少ない業務専門家でも実装可能な”アジャイルなBPM”を提供するという。これは当然の帰結かもしれない。反面、従来通り”アジャイルでないBPM”も残っている。

”アジャイルでないBPM”とは何か?これは端的に言えばBPELでワークフローを実現しようとする方法である。BPELシーケンスフローのアクティビティからOracle BPEL Worklist(ヒューマンワークフロー)のタスクサービスを呼び出して実行者、承認パターンを定義するサービス指向的実装方法である。この定義作業はBPELを設計するIT技術者の作業領分となり、ITの知識が少ない業務専門家には手出しができない。銀行業務、政府系システムなど、むやみに、そして容易に改変できない(してはイケない)業務プロセスも存在するので、この領域では”アジャイルでないBPM”が活用されていくのだろうか?

今回の計画発表で、矛盾に満ちた
”BPA Suite + SOA Suite”路線が正道の”
Oracle BPM Suite”に切り替わったことは、歓迎すべきである。

次はFileNetを買収したIBMがWebSphereとFileNetをどう融合させBPM Suiteを完成させるかに関心が集まると思われる。

カテゴリー:ベンダー動向, BPM
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